
軽い運動で安全運転力アップ
60歳を過ぎても元気に働き続けるには、月並みですが健康管理が大切です。特に、運転業においても、「軽い運動(ストレッチやウォーキングなど)」が、運転に良い影響をもたらすことが、近年の研究で明らかになっています。
本記事では、なぜ軽い運動が運転に良いのかを、科学的な根拠とともにわかりやすくご紹介します。
1. 高齢ドライバーに起きる身体・認知の変化
65歳を過ぎると、誰しも次のような変化が見られます。
・反応速度が遅くなる(中村・伊藤, 2020)
・首や肩の可動域が狭くなる(西村, 2019)
・判断力や注意力が低下する(筑波大学・征矢英昭, 2021)
たとえば、首が左右に回りづらくなると、車線変更や右左折時の安全確認が難しくなります。また、集中力が途切れると、注意散漫な運転にもつながります。
2. 軽い運動が与える良い影響
・脳を活性化し、注意力・判断力がアップ
筑波大学の研究では、65歳以上の高齢者が10分間の軽い体操を行っただけで、
前頭前野の血流が増加し、判断力・注意力が向上したことが確認されました(征矢・2021)。
・反応速度の向上
別の研究では、軽い運動後にブレーキ操作の反応時間が平均で16%短縮されたという報告もあります(中村・伊藤, 2020)。
・疲労軽減と腰痛予防
長時間座ったままの運転は、血行が悪くなり疲れがたまりやすくなります。
軽いストレッチを取り入れることで、腰痛の予防や疲労の回復に役立ちます(厚生労働省, 2022)。
・気分転換によるストレス軽減
ウォーキングや体操によって気分がリフレッシュし、イライラ運転やぼんやり運転を防ぐ効果も期待されています(厚労省 e-ヘルスネット, 2021)。
3. 現場でも進む「運転前体操」の取り組み
運送会社やバス会社では、ドライバーの健康と安全を守るため、次のような取り組みが実施されています。
・運転前の「朝のラジオ体操」
・サービスエリアでのストレッチ休憩(国交省, 2022)
・座ったまま行える「ハンドル体操」の導入(日産・新潟大学, 2021)
これらの体操は、腕・首・腰をほぐすことができ、運転中の可動域を広げるのに効果的です。
4. 今すぐできる!かんたん運動メニュー
出発前(3〜5分)
・首をゆっくり左右に回す
・肩をすくめてストンと落とす
休憩時(5分)
・腕を上げて伸びをする
・屈伸運動を5回
帰宅後や休日(10〜15分)
・ゆっくりしたウォーキング(近所を一周)
・お風呂上がりに軽くストレッチ
5. 今すぐできる!かんたん運動メニュー
弊社の社員では、日頃の運動不足解消のために、オフィスに出勤時に朝礼を兼ねて、ラジオ体操を実施しています。
ちょっとした日々の運動に取り入れてみてはいかがでしょうか?
https://youtu.be/85uyEIYi6gQ?si=SYOQJeKITtaKJ23m
まとめ
「軽い運動」は、運転前後の5分からでも始められます。
日々のちょっとした運動の積み重ねが、集中力・反応速度・体力を高め、
結果的に安全運転の土台になります。
今日から“体を動かして、事故を防ぐ”習慣、始めてみませんか?
【参考文献】
中村克樹・伊藤俊洋(2020)『軽度身体活動の脳機能への影響』日本体力医学会誌, 69(1), 34-41.
征矢英昭(2021)『加齢による認知機能の変化と身体運動の効果』筑波大学研究報告.
西村和雄(2019)『高齢ドライバーの運転能力と可動域』交通心理学研究, 45, 22-29.
厚生労働省(2022)『職場における健康づくりの推進に関する手引き』
厚労省 e-ヘルスネット(2021)『身体活動とメンタルヘルス』https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
国土交通省(2022)『ドライバーの健康管理と休憩の取り方』
日産自動車・新潟大学(2021)『高齢者向け運転体操の共同開発プロジェクト報告書』
株式会社カノン・エージェンシー
代表取締役 青木 淳